春荒れ

文学

 今日は強風吹きすさび、雨が落ちる、春荒れの一日でした。

 そんな一日も、年度始めの忙しさにかまけて、私は感慨に浸る間もありません。
 打ち合わせだ、資料作成だ、予算が減額された、などと言っては職場を駆けずり回り、気がつけば終業時間。
 昨日3時間ほど残業し、残業を続けるとてき面に体調を崩すことを知っているので、後ろ髪引かれる思いで職場を後にしました。
 
 明日は明日の風が吹く。
 まぁ、なんとかなるでしょう。

 くれなゐの 二尺伸びたる 薔薇の芽の 針やはらかに 春雨の降る

 正岡子規
の和歌です。


 今日の雨はそんな優しいものではありませんでした。
 わずかに残った桜を根こそぎ散らすような強風を伴う、凶暴なものでした。

 しかし私は、この凶暴な雨を、いっそ歓迎しようかという気持ちでいます。
 この凶暴さが、なぜだか真綿で首を絞めるような春特有の憂鬱な気配を、吹き飛ばしてくれるような気がするのです。 

 今、焼酎のロックを飲みながらこの記事を書いています。
 このわずかな酒の酔いが、ひと時、私を仕事漬けの平日の憂いから解放してくれます。

 明日の朝目が覚めれば、またその憂いに満ちた一日を過ごさなければならないことはわかりきっているのですが。

 酒は過ぎれば毒にもなりましょうが、適量ならば一時の慰めになりましょう。
 一時の慰めを頼みの綱として、あと二日、仕事に励むほかありません。

子規歌集 (岩波文庫)
土屋 文明
岩波書店

 

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