暑い

文学

 昨日も今日も馬鹿馬鹿しいくらい暑いですね。
 これでは外に出られません。
 若いうちはともかく、40を過ぎれば知らぬ間に体力が落ちているでしょうから、熱中症になってしまう危険性が多いにあります。

 そこでやむなく、エアコンの効いた室内にこもっていることになります。
 外に出ないかぎり、避暑地にいるのと同じことですから。

 かつてエアコンが普及していなかった頃、過酷なわが国の夏を人々はどうすごしたのでしょうね。
 風鈴を吊るそうが、打ち水をしようが、怪談話を聞こうが、暑いことには変わりありませんし。
 わが国だけでなく、遠く欧州でも夏は過酷だったでしょう。
 イタリアの作曲家、ヴィバルディの協奏曲集「四季」でも、協奏曲第二番「夏」の曲調は暗く、重苦しげです。

 ことごとく 団扇破れし 熱さ哉 

 いらいらと 暑しや雨の むらかわき

 炎天や 蟻這い上がる 人の足

 いずれも正岡子規の夏の句です。
 いかにも暑そうですねぇ。
 結局のところ、明治の日本人はひたすらに暑さに耐える他なかったようです。
 平均寿命が短い道理ですねぇ。
 自然の気候に耐えられないやつは死ね、ということでしょう。

 人は多く、夏の終わりと冬の終わりに亡くなるようです。
 過酷な時期を乗り越えた途端、ほっとしたように逝くのですねぇ。

 なかなか西行法師のように春、花の下で死にたいと願っても、そううまくはいかないようです。

 じつは私は8月生まれ。
 夏に強くても良さそうなものですが、夏は極端に苦手です。
 まだ冬のほうが良いですねぇ。
 冬の空気のぴりぴりした感じが好ましく感じられます。

 そうはいっても8月も17日。
 夏の断末魔が、この暑さを呼んでいるような気がします。
 秋はすぐそこです。

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