月夜の島渡り

文学

 昨夜は恒川光太郎の短編集「月夜の島渡り」を読みました。

月夜の島渡り (角川ホラー文庫)
恒川 光太郎
KADOKAWA

 いずれも沖縄の離島が舞台の作品です。
 「月夜の島渡り」というタイトルの作品はありません。
 あくまで短編集全体のタイトルです。

 作者、出身は東京らしいですが、20代後半から沖縄に住んでいるそうです。

 東京出身でも、北海道や沖縄に移住する作家や芸術家が多いのはなぜでしょうね。

 都会を離れたかった?
 異界の空気に触れたかった?

 恒川光太郎はおそらくは異界への入り口があちこちに感じられる沖縄が気に入ったのだろうと推測します。

 この短編集の物語は、どれも短く、異界へと足を踏み入れるというよりも、沖縄の離島そのものが異界の香りがして、小説というより詩編のような趣を味わうことができます。

 その代り、物語としての迫力には欠けるように感じられます。
 そこは詩編ですから。

 私としては、生まれ変わりを扱って長い時間の流れを感じさせる「私はフーイー」がお気に入りです。

 いずれも短いし、不思議過ぎず、この作者特有の抒情というか切なさを感じることが出来るので、入門編に良いかもしれません。

 デビュー作にして日本ホラー小説大賞受賞作の「夜市」などは、少々味が濃い感じがしますので。

夜市 (角川ホラー文庫)
恒川 光太郎
角川グループパブリッシング


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