1969年の7月20日、アポロ11号は月に到着しました。
1969年8月22日が私の誕生日ですので、私が生まれる少し前に人類は月に降り立ったわけです。
私の生まれ年と一緒というのは、どうでもいいことかもしれませんが、感慨深く感じます。
関係ありませんが、私が愛する「男はつらいよ」シリーズが始まったのもこの年です。
その時から54年。
54年前、NASAの偉い人は「50年後には月のホテルでカクテルを飲んでいるさ」と嘯いたそうですが、54年経っても宇宙開発は停滞したままです。
多分金ばかりかかって利益が少ないからでしょうね。
1969年と言えば東西冷戦の真っ最中。
米国もソビエト連邦も、利益を度外視した宇宙開発を意地だけで競っていたものと思われます。
きれいなお月様を眺めると、本当にあそこに降り立った人がいたのかと、不思議な気持ちになります。
アポロ11号の搭乗員の他にも、宇宙飛行士はたくさんいます。
立花隆の著作に、彼らのその後を追った「宇宙からの帰還」というドキュメンタリーがあります。
大学生の頃この本を読んで、深い感銘を受けました。
良いドキュメンタリーだと思います。
宇宙を旅した宇宙飛行士の多くが、何らかの神秘体験をしていることが淡々とつづられます。
ある宇宙飛行士は神でも阿弥陀仏でも名前は何でも良いのですが、絶対的な唯一の存在が宇宙に遍在していることを直感し、帰還後は伝道師になったり、別の宇宙飛行士はその強烈な体験に耐えられなかったのか精神的な病に侵されたりと、様々です。
そしてほとんどの宇宙飛行士が宇宙から地球を眺めることによって、地球は本当にちっぽけな存在であり、その地球上で争いを続ける人間がいかに愚かな存在であるかを実感します。
私が感じたのは、もしかしたら人間は宇宙に行ってはいけないのではないかということ。
人間精神は宇宙での滞在に耐える能力を持っていないのではないかということ。
それが宇宙に行く半端な技術を持ってしまったのは、不幸なことなのかもしれません。
宇宙ステーションに半年も滞在する人々がいますが、彼らのその後を知ってみたいと思います。
もしその詳しい精神上の変化を詳らかにできたなら、人は宇宙へ飛び立つという壮大な夢に、危うさを感じるかもしれません。
それでもなお、宇宙を目指す覚悟があるのなら、人類は人間ではない何者かに変貌を遂げたと言えるのではないでしょうか。