朝と夜

文学

 よく年寄りになると夜は起きていられず、朝日が昇ると寝ていられない、とか言います。

 私は学生の頃は朝寝坊の宵っ張りでしたが、就職して三年もすると、夜は疲れて起きていられず、朝は5時には目が覚めてしまうようになりました。

 うつ病で休み始めたときは一日23時間くらい寝ていましたねぇ。
 よほど脳が休息を求めていたものと思われます。
 躁転すると、今度はほとんど寝なくてもいつも元気、という異常な状態が半年くらい続き、電池切れのように倒れて二度目の休職になりました。

 今は22時半から23時頃寝て5時頃起きる、という良いリズムになっています。
 でもまともに頭が働くのは15時くらいまでですねぇ。
 それ以降は疲れちゃって、無理やり働いている感じです。

 研究者というのは両極端に分かれるようで、昼頃出勤して明け方帰る人もいれば、16時頃帰って翌朝7時には出勤している人や、20時には寝て深夜3時頃起きる、という修行僧のような人もいます。

 私のような事務職ではフレックス勤務が認められていないので、そういう極端なことはできません。
 20年働いても仕事に慣れるということがないような気がしていますが、体内時計はしっかりサラリーマンのそれに切り替わっているようです。

 小説家も夜型と朝型と両極端です。

 三島由紀夫は毎日完全に徹夜して夜中に仕事をしていたそうですし、原民喜も昼夜逆転の生活をしていたため不審人物と思われ、特高や憲兵にあらぬ疑いをかけられていたそうです。

 典型的な朝型といえば「ヴェニスに死す」「魔の山」で有名な、ノーベル文学賞受賞者でドイツの巨匠、トーマス・マンが有名ですね。
 「ヴェニスに死す」ヴィスコンティ監督の代表作で、デジタル・リマスター版が出来て銀座でロードショーされた時観に行きました。
 オールド・ファンのおじいちゃん達と、美少年好きの腐女子のお姉さま達が半々で、奇妙な客層でしたねぇ。

 それはともかく。
 トーマス・マン神聖な午前と称して、どんなに執筆意欲が湧いても午後は執筆せずにお茶など飲んでゆっくりしていたそうです。
 なんでも疲労した頭で執筆しても良いものはできないから、だそうですが、それは経済的に豊かな大家にしかできない贅沢でしょう。
 羨ましいですねぇ

 私は定年して趣味の執筆活動を行える身分になったら、きちんと9時から5時までネクタイを締めて執筆したいですねぇ。
 そうでないと気合が入らないような気がします。
 外相整えば自ずと内相整う、と言いますからねぇ。

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