近頃若い会社員の間に、未熟型うつと呼ばれる、従来のうつ病患者とは違った特徴を持った患者が増えているそうです。
従来、うつ病になる人は、責任感が強くて滅私奉公型で、頼まれると嫌と言えずに仕事を抱え込んでしまう糞真面目なタイプが多いとされてきました。
しかし未熟型うつは自己愛が強くて目立ちたがりで上昇志向が強く、目立つ仕事は熱心にやるが、地味な仕事を命じられると拒絶したり、注意されると逆切れしたり、といったタイプで、自分が思うように評価されていないと感じるとうつ状態になってしまうケースが多いということです。
しかしどちらも発病すれば憂鬱感、悲哀感、無気力、睡眠障害など、同じようなうつ状態を示すため、処方される薬は同じようなものになりますが、カウンセリングが極めて難しいということです。
従来のうつ病患者は休職中、自分を責め、早く職場復帰したいと気ばかり焦るものですが、未熟型うつは病気になったのは会社が自分を正当に評価せず、つまらぬことで叱ってばかりいるからで、自分に非はないと考えるため、職場復帰への意欲が低く、そのままずるずると休み続け、退職にいたるケースも多いそうです。
どういうタイプであれ、精神障害という点では同じなので、医師や家族のみならず、職場の理解が不可欠です。
面倒くさいことですが、うまくおだてて乗せてやり、未熟型うつの発病を防ぐことが職場の上司らには求められます。
おそらくこれから、ゲームで一人で遊んでばかりいたような若者が職場に入ってくるでしょう。
彼らはギャング世代と呼ばれる小学校中学年くらいの悪戯ざかりの時期を家でゲームをして過ごしてきており、社会性を身につける基礎的な訓練が出来ていないうえ、親は狂気染みたクレーマーで学校に文句をつけてばかりいたりして、社会性が身に付くはずもありません。
もちろん、若者がうつ病になる場合未熟型うつになると限ったことではなく、個人差は極めて大きいですが、つい10年ほど前には話題にもならなかった未熟型うつが最近注目を集めているのは、未熟型うつが急増しているからでしょう。
私の職場でも、今年の4月に入った新人はわがまま放題で困ったやつだと思っていたら、上司に注意されたことがきっかけで8月から病気休暇をとりました。
病気休暇中なのに職場の同期や若手の飲み会には顔を出し、元気にカラオケを歌ったりしていたと聞きましたが、未熟型うつの特徴として、職場以外ではとたんに元気になるそうですから、周りから見ると仮病にも見えてしまい、誤解を受けて本人はますます傷つくという悪循環を生むようです。
結局、彼は三カ月ほど病気休暇を取った後、そのまま退職してしまいました。
彼にとっても、もしかしたら大きく成長して戦力になったかもしれないことを考えると職場にとっても損失です。
今後は人事担当者が精神をやられちゃうような状況になるかもしれませんね。
それにしても人間の心というもの、摩訶不思議です。
![]() | 未熟型うつ病と双極スペクトラム―気分障害の包括的理解に向けて |
阿部 隆明 | |
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