残念ながら、今年も村上春樹のノーベル文学賞受賞はなりませんでした。
私は彼のデビュー作「風の歌を聴け」から、すべての作品を読んでいます。
川端康成が日本の美を詠ってノーベル文学賞を受賞し、大江健三郎は真逆に欧米文学のような、日本語としては悪文の文学で受賞しましたね。
村上春樹はその二人とは違って、一種の無国籍文学とでもいうべき特徴を備えています。
だからこそ、世界中で受け入れられたのでしょうね。
「ノルウェイの森」や「1Q84」が代表作と目されているようですが、私は初期の「風の歌を聴け」・「1973年のピンボール」・「羊をめぐる冒険」の鼠三部作と、「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」がお気に入りです。
とくに「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」を高校2年生の時に読んで、自分がくだらぬ小説を書こうとするのは無意味なのではないかと思いました。
世の中にはこんなに才能豊かな人がいるのかと驚くとともに、こういう小説を書きたかったのに、先にやられてしまった、と嫉妬を感じました。
結局中途半端に2冊の短編集を世に問いましたが、私の強い自負とは違って、世に認められることはありませんでした。
結局才能が無かったということなんでしょうねぇ。
今は面白くも無い仕事で糊口をしのぎ、なんとか生きている、というか死んでいないという感じでしょうか。
世界の大多数の人々がつまらぬ仕事をして飢えをしのいでいます。
しかしそれらの仕事の集積が社会を支えているわけで、その点では小さな社会貢献をしていると言えるのかしれません。
そういう実感はありませんが。
来年こそ、村上春樹のノーベル文学賞受賞に期待したいと思います。

にほんブログ村

本・書籍 ブログランキングへ