日本維新の会の石原慎太郎代表が講演で、「核を持っていない国の発言力は圧倒的にない。核兵器に関するシミュレーションくらい日本はやったらいい」などと述べたそうですね。
物騒な発言です。
わが国ではここ5年ばかり、政治家が核武装の必要性を説く姿をときおり見かけるようになりました。
古くは1970年代初頭に秘密裏に核武装計画を立案し、当時の西ドイツに一緒に核武装しませんか、と持ちかけたことが最近明らかになりました。
当時の西ドイツ政府はたいへん衝撃を受けたそうです。
核拡散防止条約というのがあって、わが国も批准しています。
つまり、すでに核兵器を持っている国に廃絶を迫ることはできないが、せめて今核武装していない国が核武装を目指すことは止めようという主旨かと思われます。
これは考えようによってはずいぶん傲慢な発想です。
うちらは昔から持ってるからいいんだもん、でもこれから持とうとするのは駄目だよ、というわけで、公平性に欠けると言わざるを得ません。
私はわが国は核武装を目指すべきではないと思っています。
世界中から非難されますし、同盟国との関係性も悪化するでしょう。
世界はどこよりもわが国の核武装を怖れているのですから。
でももしかしたら、ほとんど完成していて、ネジを一本巻いたら出来上がり、みたいな状況になっているのではないかと想像することは楽しいことです。
それぐらいしたたかにやってもらわないと、政府を信頼することなどできません。
要はいつでも作れるけど政策判断で作らないだけだ、という態度を明確にしておくことが大事でしょう。
それなら政策判断を変更すればいつでも核武装する、という意味になり、周辺国はわが国を侮ることができなくなります。
世界は無秩序な暴力が支配しています。
それは嘆かわしいことですが、嘆いていても仕方ありません。
世界のスタンダードにしたがって、できることをやる以外ありますまい。