梅雨はげし

文学

 今日も雨模様。
 そのうえ梅雨寒。
 職場は寒くて、あったか下着を着てさらに上着を着、密かに股引きを履いています。
 それでも半袖シャツ一枚の人がいるから不思議です。
 
 こんな梅雨を、激しいととらえた句があります。

  梅雨はげし 百虫足殺せし 女と寝る        西東三鬼 

  女は百足を踏みつぶしてしまったのでしょうか。
 その女と寝るとは、なるほど梅雨は激しい道理です。
 なんだか雨にぬれた虫の死骸や女体の臭気が匂ってくるようで、不気味ですねぇ。

 梅雨富士の 黒い三角 兄死ぬか   西東三鬼

 梅雨の富士を黒い三角と見立てているのが面白いですねぇ。
 そして唐突に出てくる兄の死。
 黒い富士に死を暗示させているのでしょうか。

 一般に俳句では病は詠んでも死は詠まないように思います。
 それを俳句であえてやると、不気味さが増すようです。

 梅雨はなんとなく体が重く、気分が沈みますが、梅雨をこんな風に句にすることができれば、なかなか楽しい季節のような気がしてくるから不思議です。

西東三鬼句集 (芸林21世紀文庫)
西東 三鬼,橋本 真理
芸林書房
神戸・続神戸・俳愚伝 (講談社文芸文庫)
西東 三鬼
講談社

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