梅雨明け

文学

 なんだか知らないうちに首都圏は梅雨明けを迎えたようですね。

 昨日、今日と猛暑でした。

 もっとも、今年は節電の要請もなく、エアコンを効かせた部屋で執務しているのでほとんど暑さに苦しめられることはありませんが。

 かりにくと 恨みし人の 絶えにしを 草葉につけて しのぶ頃かな

 うとましく思われた人間関係も、なくなるとなるとさすがにさみしく思われる、そんな微妙な心を歌っています。
 しかしそれがなぜ夏であるのかはよく分かりません。

 花散りし 庭の木の間も しげりあひて あまてる月の 影ぞ稀なる

 これはうまいですねぇ。
 夏への季節の推移を木立の繁茂する点でとらえ、さらにそこからもれてくる月の光を焦点としたものでしょうか。

 いずれも新古今和歌集にみられる曽弥好忠の和歌です。

 わがくにびとは古来、どの民族よりも季節感を大切にし、春には花を、夏にはホトトギスを、秋には月を、冬には雪を風流なものとして愛でてきました。

 それは今もなお連綿とわが国民に受け継がれ、花見や月見、雪見の酒を楽しむことを良しとしていますね。

 私は過酷な夏は苦手ではありますが、日本古来の美意識に従って、ホトトギスでも詠んでみましょうか。

 あ、でも私は、散文を書くことは苦にしませんが、詩歌となると七転八倒の苦しみで、しかも碌な物ができあがりません。

 無粋なものです。

 今年の夏はお盆休みに中禅寺湖畔の老舗のホテルに宿泊して、あまりにも短い避暑を楽しむ予定です。
 中禅寺湖は三年連続。
 避暑地としては最高だと思います。

 明治時代には、各国の大使がこぞって中禅寺湖に避暑に出かけ、夏の間、外務省は中禅寺湖に移る、とまで言われたそうです。
 今もフランス大使館の別荘が在り、また、元イタリア大使館の別荘は一般公開されています。
 当時の外国人たちは、あの冷たい中禅寺湖で水泳大会を開いたり、釣りをしたり、ボートレースを楽しんだりしたんだとか。


 軽井沢や那須は行くのは楽ですが、そんなに涼しくないし、人がいっぱいいて嫌なんですよねぇ。

 その点中禅寺湖畔は文句なしに涼しいし、人出も適度で、私には合っているようです。
 大金持ちになったら、中禅寺湖畔のホテルでひと夏過ごしたいですねぇ。

新古今和歌集―ビギナーズ・クラシックス (角川ソフィア文庫 88 ビギナーズ・クラシックス)
小林 大輔
角川学芸出版


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