業界激震

社会・政治

 今朝の朝日新聞によって、国の研究教育機関に激震がはしりました。

 60もの大学で、研究費のあずけ、が行われており、総額7億円にも及ぶというのです。

 
あずけ、は主に年度末、余った研究費を架空の請求書を業者に作成してもらい、それをもとに業者に支払い、年度が代わってから、あずけた金額分、主に消耗品を納入させるものです。
 一つで10万円以上すると資産に計上しなければならず、事務局にばれてしまうことから、教員は消耗品などで使います。

 じつはこれ、何年も前から問題になっていて、納品検収は事務局が立ち会わなければいけない、とか、教員が事務局を通さずに発注するのは駄目だとか、色々と防止策はとってきたところです。

 ただ、科学研究費補助金というのは7月末に金がもらえて、それを3月31日までに使い切らないといけない、という窮屈な制度なのです。

 来年度からは、この弊害をなくすべく、比較的額が低い科学研究費補助金については基金化し、年度を越えて予算執行できるようにすることが決まった矢先の大規模不正経理の発覚です。

 東工大では次期学長に内定していた教授が、就任を辞退する騒ぎになっています。

 国立大学や国立の研究機関は、このニュースの前に頭を垂れるほかありません。
 私自身、年度末、やむを得ずあずけの誘惑に負けそうになったことがあります。
 幸いにして、ぎりぎりのところで踏みとどまり、無事に決算を終えましたが、あずけというのは楽だし、業者が告発しないかぎりばれることはないし、教員にも、事務局にも、魅力的な方法ではあります。

 特効薬は、すべての経費について、年度を越えた執行が許されるようになることだと思います。
 予算の単年度主義をがっちり守ったまま、行政に無駄削減を求めるのは、矛盾というものです。
 片方で無駄を削減しろと言い、片方で予算は年度内に使い切りなさい、というのですから、現場は混乱するばかりです。

 今回の大規模不正経理は、もちろん第一義的には教員各自のモラルの低下に求められるべきですが、俯瞰して見るに、予算の単年度主義という国の会計制度自体にほころびがでているせいなのではないかと思えてなりません。

国立大学法人会計入門
堀川 洋
税務経理協会

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