橋口五葉

美術

 猛暑の中、千葉市美術館に行って来ました。
 ここは市町村立の美術館としては破格に規模が大きく、予算も豊富なようで、興味深い展覧会を良く開くので、たびたび足を運んでいます。
 我が家から5キロ、車で10分ほど、駐車場も無料なので、楽です。

 今日は橋口五葉展です。
 今朝、NHKの日曜美術館の後のアートシーンで紹介されており、初めて聞く名でしたが、興味を持ったというわけです。


 橋口五葉は明治から大正にかけて活躍した画家で、非常に多才な人でした。

 少年期には日本画を学び、墨絵などを描いていましたが、青年期に東京美術学校(現東京藝術大学)で洋画を学び、風景画、美人画などで頭角を現し、夏目漱石の本の装丁や、三越の宣伝用ポスターなどで大金を稼ぎ、晩年は浮世絵に没頭したとのことです。
 日本画と洋画の垣根を軽々と飛び越え、独自の境地を開きましたが、器用貧乏の感は否めません。

 世間では美人画の評判が良いようですが、私は夕焼けや木漏れ日を描いた印象派風の風景画に、彼の真髄があると見ました。

 美人画はきれいなのですが、どこか女性を物体として捉えているような感じがして、生命感が感じられないのです。
 それに比べて風景画はノスタルジーのようなものが感じられて、見飽きませんでした。

 また、真っ黒いカラスに孔雀の尻尾をつけた風刺画めいたものがありましたが、正視に堪えないほどグロテスクなものでした。
 しかもそ絵のタイトルが「美しい鳥」というんですから悪趣味です。


 画業にとり付かれたらしく、美術の毒にあたったのか、41歳でこの世を去ったそうです。
 時代に選ばれた器用すぎる画家だったのでしょう。

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