機巧のイブ 新世界覚醒篇

文学

 せっかくの土曜日ですが、あいにくの雨。
 梅雨時ですから仕方ありますまい。

 午前中は、静かに読書をして過ごしました。

 以前読んだ、SF時代伝奇ロマン、「機巧のイブ」の続編、「機巧のイブ 新世界覚醒篇」を読みました。

機巧のイヴ: 新世界覚醒篇 (新潮文庫)
乾 緑郎
新潮社

 「機巧のイブ」の感想は以下からお読みください。
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https://tobiomasahiro.com/s/%E3%82%A4%E3%83%96

機巧のイヴ (新潮文庫)
乾 緑郎
新潮社

 美しい女の姿をした機巧=ロボットの伊武。

 江戸時代後期を舞台とした前作から、ざっくり百年後。

 今度は米国を模したと思しき新世界大陸を舞台として、伊武を巡る物語が描かれます。

 前作が、どちらかというとかちっとまとまった、文学的香気の漂う作品だったのに対し、「新世界覚醒篇」は、大活劇というか、エンターテイメントに徹した感じで、伊武の役割というか、比重が落ちているように感じられ、そこは残念な点。

 ただし、面白さという点においては、前作を圧倒しています。

 伊武を欲しがる大会社や、そこに雇われて伊武を盗もうとする私立探偵、伊武に恋する少年、私立探偵の暗い過去、伊武の秘密を知りたがる電気会社の技術屋であり社長でもある女などが、物語に重層性を持たせています。

 気楽に読めるようでいて、じつはほろ苦い物語でもあります。

 新世界から、日本と思しき日下國に戻った伊武がその後どうなるのか、早くも続編が待たれるところです。