三大欲求とか言いますね。
食うこと。
眠ること。
セックスすること。
欲望というのは正直なもので、腹が減れば飯を食いたくなり、疲れれば眠くなり、禁欲を続ければやりたくなります。
このうち、性欲は明らかに衰えました。食欲は、量については衰えましたが、より旨いものをリラックスできる空間で食いたい、という質にこだわるようになりました。睡眠欲は、変わりません。これは最後まで変わらないんでしょうね。
他に、金銭欲や名誉欲、権力欲というのがあります。
私は精神病発病以来、元々は健全に持っていたこれら欲望を、諦める他なくなりました。三大欲と同じように、これらの欲望は人として自然なものであり、もっとも純粋なものですね。
コリン・ウィルソンは自己実現欲が最後で最大の欲求であり、これのために生きていると言っても過言ではない、と書いています。
私にとっては、小説を読んだり書いたりすることだったのですが、精神病でもっとも衰えたのがこの自己実現欲求です。
すると、私に今残っているのは三大欲だけなのかもしれません。
犬や猫みたいですね。
それでも、精神病差別だけは許さない、という強い気持ちだけは持っています。
過重なストレスにさらされたとき、胃炎になる人もいれば十二指腸潰瘍になる人もあり、脳にくる人もいます。
胃や十二指腸にきた人は「お気の毒に」と同情され、脳にきた人は「気合が足りない」とか「意志が弱い」とか言われて差別されるのは、誠に辛いことです。
しかし、悲しいかな。精神病者の多くは、それら差別に立ち向かう術を知らないのです。私の今の欲望は、全ての精神病患者がその術を知ることです。