死に顔

その他

 亡父の通夜が3月15日、告別式が16日と決まって、あまりに遠いため、午後実家に死に顔を見に行きました。

 静かな顔でした。

 線香をあげて顔を見ても、不思議なほど何の感慨もわきませんでした。
 冷たい倅ですね。

 亡父は西行法師の和歌をこよなく愛していました。
 病の床にあって、「山家集」をひもといていたくらいです。

山家集 新訂 (岩波文庫 黄 23-1)
佐佐木 信綱
岩波書店

 その辞世、

 願わくば 花の下にて 春死なん その如月の 望月の頃

 には、少し早かったようです。
 しかしせっかちな亡父のこと。
 花なんぞ待っていられなかったのでしょう。

 それにしてもわが実家には、佃煮にするほど坊主が集まり、檀家の世話人も交えて誰が葬儀委員長をやるだの導師をやるだの、どうでもよいことを話し合っていました。

 なるほど葬式というものは、生き残った者のためにやるのだなぁと、感じ入ったしだいです。


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おきてがみ