札幌の中学生1年生が飛び降り自殺したそうです。
残されたノートには、「死んだらどうなるか知りたい」と書かれていたそうです。
イジメを示唆する言葉もあったようですが、級友はイジメに関しては一様に首をかしげています。
学校も寝耳に水だった様子。
私はむしろ、純粋に死後の世界への興味関心を募らせた思春期の少年の、危険な冒険だったのではないかと直感しています。
1990年代初頭、「フラットライナーズ」という映画が公開されました。
何人かの医学生が、死後の世界を探るため、臨死体験をしようと、一人を心肺停止にし、1分後に蘇生させるという危険な実験を行います。
彼らは順番にそれを行い、全員が臨死体験をするのです。
しかし安易に臨死体験をした彼らには、怖ろしい運命が待っていたのです。
主人公が朝日を浴びながら、「死ぬにはいい日だ」とつぶやくシーンが印象的でした。
札幌の中学生は蘇生はなされず、本当に死んでしまったわけですが、それが知的好奇心から起きた自殺であるならば、ゆゆしき事態です。
イジメを苦にこの世から逃走する自殺ももちろん悲惨ですが、死後の世界を知りたいという知的好奇心を満足させんがための自殺だとしたら、その知的好奇心が向かった先はあまりに危険であったと言わざるを得ません。
分からないものを知りたい、解明したいというのは、人間の本能のようなものですが、死後の世界は誰でもいずれ知ることができます(ただし、死後の世界が存在した場合だけ)。
それを一刻も早く知りたいというのは一種の精神障害に冒されていたと考えるのが妥当でしょう。
自殺した中学生の気持ちも分からなくはないですが、まずは生きて、この世の叡智はどこまで死後の世界に迫っているかを学ぶことから始めるべきであったでしょう。
一足飛びに結論を得ようとは、あまりに先走り過ぎです。
私もかつて、高校生の頃、西洋神秘主義哲学にはまり、これによって学問や修行をせずとも一足飛びに世界の秘密を知ることができると考えていました。
もちろん、そんなことが不可能であることは直に気付き、結局お釈迦様が取ったという、この世の始まりとか終わりとか、死後の世界とか、誰にも答えられない問いには微笑んで答えず、ただ現世をいかに良く生きるかだけを説いたという態度こそが、誠実なのだろうと思います。
誰でしたか、人間がどうしても知りたいことだけは、絶対に知り得ないように出来ている、という西洋哲学者の嘆きが、胸に響きますねぇ。
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