民主的な民主主義封殺

思想・学問

 今日は雨が降ったりやんだりのすっきりしない天気で、一日、自宅に閉じこもっていました。

 テレビをつけたらフランス製のドキュメンタリーを放送していて、観るとも無く観てしまいました。
 ヒトラーが独裁体制を敷くまでの彼の半生と、当時のドイツが置かれた状況を分かりやすく解説したものです。

 驚いたのは、第一次大戦から、多くのカラー映像が残されていること。
 多分デジタル・リマスターなのでしょう、非常にきれいな映像でした。

 概ね知っていることばかりでしたが、映像の綺麗さに驚嘆しました。
 当時世界で最も民主的とされ、第一次大戦後にドイツが採用したワイマール憲法。
 主に社会民主党が政権を握っていたところ、ヒトラーの天才的な演説やゲッペルスによる巧みな宣伝で一般庶民の心をつかみ、選挙のたびに議席を増やし、ついには第一党となり、さらにヒトラーに全権を与える全権委任法を通過させ、大体において民主的な方法で民主主義を封殺していく手法は、まるでSF小説のようで、スリリングなものです。

 また、SSにしてもSAにしても、制服が極めてスタイリッシュで格好良く、鉤十字の旗も洒落ています。

 多分私が当時のドイツに生まれていたら、国家社会主義の思想というよりも、ナチの格好良さにころっといっていたでしょう。

 彼らが何をやったか知っている今の私から見ても、ファッション性は極めて高いと思います。
 ありていに言って、格好良いとしか思えません。

 しかし、当時の上流階級やインテリ層は、ナチが政権を握るはずなど無いと思っていたようです。
 要するに過激で奇妙で滑稽な連中、という見立てですね。
 わが国で言えば、オウム真理教が政権を取るような感じでしょうか。

 ところが現実にナチは政権を奪取し、独裁体制を敷き、ついには、無謀な戦いで世界を焼き尽くしました。

 これは示唆に富んだ歴史の教訓です。

 民主主義は民主的方法で破壊することができること、そして、勢いを得た天才的政治家が暴走を始めたら、それを止めることは極めて困難であること。

 今、わが国は自民党が最も多くの支持を得ていますが、野党もそれなりの支持を得ており、独裁の気配はありません。

 しかし、人気者だった小泉元総理の100倍もの魅力に満ちた政治家が現われた場合、私は冷静に見ることができるのか、自信がありません。

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