これまで死刑執行を行わなかった千葉法務大臣が、今朝、二名の死刑囚の刑を執行させたそうですね。
よく大臣の任期が終わりに近づくと、死刑が執行されると聞きますが、本当にそうですね。
千葉法務大臣は先の参議院選挙で落選しており、9月の民主党代表選挙後の引退が確実です。
死刑確定囚に死刑執行の命令を出すのは法治国家の担当大臣として当然ですが、麻生内閣の森法務大臣が飯塚事件の死刑囚の死刑執行を命じたのは、いやな感じです。
飯塚事件は、再審で無罪となった足利事件と同じく、まだ技術的に未熟だった20年ほど前のDNA鑑定を証拠として、死刑判決が確定したものです。
しかも、飯塚事件の死刑囚は、足利事件と違い、どんな取り調べを受けても、一貫して無罪を主張し続けた、とのことです。
再審請求の準備中の出来事で、弁護士もショックでしばらく立ち直れなかったとか。
今、死刑執行後ではありますが再び再審請求を行う準備中だそうです。
仮に再審が認められたとしても、もう死刑は執行されてしまいましたし、なんとも空しいかぎりですね。
この件については、国家公安委員長が「死刑執行は残念だ」と言ったり、鈴木新党大地代表が国会で質問したりして、政府が一致して国家権力を濫用した、ということではなさそうです。
少なくとも、一部国会議員は、冤罪の可能性に言及しています。
このような場合、法務大臣としては、職務だからと右から左に署名してはいけませんね。
死刑執行は法務大臣が署名しなければ行えないわけですから、膨大な裁判資料を精査して、かけらも疑う余地はない、と確信してからでないと、取り返しのつかないことになります。
世界の大勢は死刑廃止に動いていますね。
日本では平安時代に事実上、死刑が停止されましたが、武士の世になってから今日まで、死刑は存続しています。
多くの人の中には、矯正不可能な邪悪な人間も存在するでしょう。
しかし終身刑を導入すれば社会的に抹殺することは可能なのですから、この際終身刑を導入し、死刑は廃止してはいかがでしょう?
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坂本 敏夫 | |
文藝春秋 |