海原

社会・政治

 石原前都知事、新党の名称を太陽の党にするとか。
 1956年に芥川賞を受賞した彼のデビュー作が「太陽の季節」
 よほど太陽がお好きと見えます。
 太陽をデザインした日の丸も大好きなようですし。

 そういえばスピルバーグ監督が太平洋戦争に題材をとった映画に、「太陽の帝国」というのがありましたね。
 敵国ながらわが国の零戦に憧れる米国の少年が主人公でした。

 皇室の祖とされる天照大神も太陽の神様。
 わが国は太陽が大好きです。

 しかし一方、わが国民は月を愛でるのも好きでした。
 月を詠んだ歌や句は数知れず。
 太陽の強烈すぎる生命力に比べて、どこか儚げで、幻想的な美を生み出す月は、わが国の文芸や芸術の重要なテーマであり続けています。

 天照大神の弟神で月の神様とされているのが、月読命(ツクヨミノミコト)です。
 さらに下の弟に暴れん坊で高天原を追放された素戔男尊(スサノオノミコト)がいます。

 この三柱は、イザナギが黄泉国の穢れを落とすために禊を行った際に生まれ、イザナギは三貴子にそれぞれ高天原・夜・海原の統治を委任したと伝えられます。

 天照大神月読命はこの命を守ったのに対し、素戔男尊は海原の統治を不服として高天原で暴れ、追放されたとやら。

 記紀によれば、太陽=昼と月=夜と同じくらい海の支配を重視していたということで、海洋国家としてしか生きられない小さな島国であるわが国の悲哀を感じます。

 石原前都知事にも、わが国発祥以来の、海洋国家としての生き方しかできない悲哀を感じますね。
 尖閣諸島を都が購入しようとしたことなどはその代表例でしょう。

 しかし、素戔男尊は海原の統治を不服としました。
 古来から、それほど労多くして益少ない仕事だと感じられたのでしょうか。
 そうだとすると、現代の防人たる海上自衛官、海上保安官などは、自ら望んで貧乏くじをひいた愚か者。
 その愚かさは、賞賛に値します。
 四方八方荒海に囲まれた国で、しかも中国・北朝鮮・ロシアなどの無法者に囲まれています。

 そうであるなら石原前都知事は、太陽の党なんてつまらぬ名前は止めて、スサノオの党とか海原の党とか名付けて、海洋国家として生きるのだと言うの強い意志をお示しになられたらいかがでしょうか。

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