古来、日本人は好奇心が強く、物見遊山が大好き。
それは向学心の顕われといえ、悪いことではありません。
しかし、被災地へ見物に行くというのはどうでしょう。
宮城県の某村で、やっと通じた細い道路で渋滞が発生するようになったのは、先月末のこと。
緊急車両の通行の妨げになっているそうです。
そしてその多くが、県外から被災地を見にやってきた野次馬の車。
写真を撮って帰るだけの輩が多いとか。
そのため村では通行許可証を発行し、関係者以外の車を締め出すことにしたそうです。
なんとも不謹慎な話ですねぇ。
野次馬が自衛隊や消防、ボランティアなどの車を妨害しているとは。
これが福島の原発近くには全くいないのですから現金なものです。
レジャーなんかでやって来られたら、被災者のみなさんやがれきの除去などに当たっている役場や消防のみなさんはたまったものではありません。
関係ありませんが、横井庄一さんが二十数年ぶりにジャングルから帰還したとき、多くの人が横井さんを一目見ようと実家に訪れたと聞きました。
ジャングルで孤独な戦いを続けていたというだけで、ただのおじさんなんですけどねぇ。
おそらく昔の見世物小屋の蛇女や蜘蛛男、エレファント・マンと同じ感覚なんでしょう。
また、江戸時代のお蔭参りなんかも広い意味では野次馬根性の顕われでしょう。
寅さんのおばちゃんですら、箱根の関を越えた事がないというのに。
一方フランスには、パリ生まれのパリ育ちでありながら、セーヌ川を見たことがない人がけっこういるとか。
日本で言えば東京生まれの東京育ちで隅田川を見たことがないとか、東京タワーに上ったことがないとかいうもの。
フランス人はあんまり物見高くないんですねぇ。
なんだかもったいないような。
被災地を実地に見学したければ、ボランティアに応募するなど、お役目を持って出かけてほしいものです。