独り酒

文学

  ようやっと、今日の業を成し終えました。
 なんだか疲れました。

 この疲れを癒すのは何かと問われれば、そんなことは知れたこと。

 わずかな酒であるに違いありません。

 秋の夜、独り飲む酒は格別です。

 白玉の 歯にしみとほる 秋の夜の 酒は静かに 飲むべかりけり  

 私が最も愛する大酒のみの歌人、若山牧水の歌です。
 このブログで何度も紹介しました。

 月花も なくて酒のむ 独り哉

 花にうき世 我が酒白く 飯黒し

 いずれも松尾芭蕉の句です。
 松尾芭蕉というと、求道的なイメージが強いですが、酒もやったんですねぇ。

 酒が白いというのはどぶろくで、飯が黒いというのは玄米ということでしょうか?

芭蕉全句集 現代語訳付き (角川ソフィア文庫)
雲英 末雄,佐藤 勝明
角川学芸出版

 川風や よい茶よい酒 よい月夜

 単純な作りですが、明るい感じが悪くありません。
 情趣には欠けますが。

 芭蕉の弟子、室井其角の句です。

其角俳句と江戸の春
半藤 一利
平凡社

 酒と言うのは不思議なもので、全く受け付けない人もいれば、大酒を連日喰らってアルコール依存症になったり、肝臓を患ったりする人もいます。

 私は医者から、今の酒量を続けていれば、20年後には肝硬変になり、その5年後に死ぬと脅され、酒量を減らした小心者です。

 25年も先のこと、誰にも分からないと思いますがねぇ。
  ていうかあと25年も生きられれば十分なような気もしますが。


 酒が止められない人というのは、きっと酔いによる快感をより強く感じてしまう脳を持っているのではないかと思います。

 きっと私も、アルコール依存症になるほどでは無いですが、普通より少し、酒の快感を感じやすいタイプなのだろうと思います。

 今年44歳になりましたが、酒を飲むようになって28年がたちます。
 若干計算が合いませんが、要するにそういうことです。

 今宵は風呂に浸かって、わずかな酒で慰めを求めるとしましょうか。

 酒の友は、やっぱり「若山牧水歌集」ですかねぇ。

若山牧水歌集 (岩波文庫)
伊藤 一彦
岩波書店


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