先日NHKで、別府市で行われている現代アートのお祭りが紹介されていました。
別府市の民家と言わず、公園と言わず、路地までも、展示場にして、ありとあらゆる現代アートを展示しているのです。
現代アートというと、ピカソやダリに代表されるような、シュールリアリズムから出発して、独特の世界を築いた美術家たち、という印象がありましたが、今はさらに進んで、もっと自由というか勝手気ままに、創作を行っているのですね。
全身黒づくめの格好をしてただ地を這い回り、それを撮影したものや、木に本をくくりつけただけのものや。
正直言って、なんだかわかりません。
美術というくらいだから、「美」を感じさせないといけないんじゃないかな、と思います。
あれは美術というより自己顕示のパフォーマンスですね。
変わったことをすれば良い、というような風潮は戒めるべきですね。
きっと近代にいたるまで、美術という概念は希薄だったんじゃないでしょうか。
仏師にしても絵師にしても、基本は注文に応じて創作します。
ヨーロッパのキリスト教芸術も、布教や、キリスト教の素晴らしさを称揚するためのものです。
いわば、主持ち。職人に近かったのではないでしょうか。
その反動がパフォーマンス的現代アートのような気がします。
しかし、仏像や、クラシック音楽や、定型詩や、能のように、約束事に縛られながら、その範疇で高い芸術性を追求することの方が、私には魅力的に思えます。