明日は私の43回目の誕生日。
今夜は生誕前夜祭です。
明日は生誕祭のため休暇を取りました。
生誕祭のクライマックスは8月25日(土)から27日(月)の中禅寺湖畔での避暑。
誰も祝ってはくれませんから、自分で勝手に祝うのです。
昭和22年の日本人男性の平均寿命は50.06歳。
まさに人間50年だったわけです。
その頃なら、43歳といえばもう老人でしょうか。
それが年々平均寿命は延びて今は日本人男性は78歳。
老人だったはずの40代半ばは鼻たれ小僧になってしまいました。
現に当時47歳の谷崎潤一郎のことを、某雑誌で谷崎翁と書いてあって、驚いたことがあります。
近頃40代の男性には、アンチエイジングとか称してシミを消したり奇妙な液体を注射して皺を伸ばしたりすることが流行っているやに聞き及びます。
誠に愚かな行為と言わざるを得ません。
少々若く見えたからと言って、どうということはありません。
人間生きている限り必ず老いるもの。
不老長寿は人類永遠の夢であり、絶対に叶うことのない儚い夢でもあります。
古くは不老長寿の秘薬を求めてあっちこっちに使者を遣わした中国の皇帝がいたり、ハンガリーのある伯爵夫人にいたっては、処女の生き血の風呂に浸かると若さが保てるという珍説を信じ込み、領地内の若い女を次から次にさらっては殺害し、生き血の風呂を沸かしたそうです。
生き血に浸かるなんて、不衛生この上ありません。
しかし結局は、すべてが空しい一人相撲に終わりました。
近頃のアンチエイジングなるものにも、それらと同様の胡散臭さを感じます。
私は年相応に、堂々と老けたいと思っています。
男の老いは、禿げにきたり、白髪にきたり、皺にきたり、中年太りにきたりしますね。
私の場合、髪は黒々ふさふさですが、顔にずいぶんシミが出来ました。
これらのシミの一つ一つが、私が生きてきた軌跡に感じられ、愛おしく思われます。
一時激しく太り、20キロも増えて良い感じに貫禄がつきましたが、父の死をきっかけに5カ月で15キロも体重が落ち、貧相になってしまったうえに年より若く見られるようになり、誠に残念です。
1981年の米国映画、「黄昏」では、湖畔の別荘で、老いた妻に、老いた夫が、「君の皺の一本一本までが美しい」という名ゼリフを吐く場面があります。
私はそのセリフゆえにこの映画を深く敬愛しています。
老いをこの世の不変の真実であり、逃れられない物だと認めた時、皺もシミも白髪も、すべてが美しく、愛おしい物に思えてくるのではないでしょうか。
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