秋雨

文学

 雨、ですね。
 けっこうしっかり降っています。
 秋の長雨にならなければ良いのですが。

 
秋の田の 穂の上を照らす稲妻の 光の間にも 我や忘るる  よみ人しらず

 稲妻が光る一瞬にもあなたを忘れない、という「古今和歌集」に見られる和歌です。

 秋雨を読んだ歌は非常に少なく、「古今和歌集」新古今和歌集」をざっと見返しても、数えるほどしかありませんでした。
 一方、秋風を詠んだ歌は数多くありました。
 古の人々は、秋雨にあまり趣を感じなかったものと見えます。

 近代歌人はどうかというと、若山牧水には次の一首が見えるばかりです。

 
秋雨の 葛城(かつらぎ)越えて白雲の ただよふもとの 紀の国を見る

 やはり歌よみという人種は、秋雨にあまりそそられないようです。

 まあ、考えてみれば当たり前で、秋は夕暮れ時や月夜が真髄。
 どちらも晴れいなければ話になりません。
 そういう私にしてからが、せっかくの休暇、この雨で損した気分です。

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