秋雨

文学

  久しぶりに本格的な雨ですねぇ。
 秋雨というには少し寒いでしょうか。
 今シーズン初めて、コートを着て出勤しました。
 通勤の電車内では、少し浮いていました。
 まだちょっと暑かったかもしれません。

 秋といえば、月にしても菊にしても、わが国の和歌や俳句ではもっとも多く詠まれる時期であり、風情漂う季節です。
 秋には過ごしやすい季節でありながら、冬の足音に慄くどこかさびしげな感が漂います。

 俳句の名手、正岡子規の秋雨の句からいくつか拾って、秋雨を詠む作法を見てみます。

 犬痩せて 山門淋し 秋の雨   
 
 犬痩せて、という文句が不気味で良いですねぇ。
 さびれたお寺の山門に、雨の中痩せこけた犬。
 一幅の絵のような句です。

 秋雨や 色のさめたる 緋の袴

 色がさめた緋というのが貧乏くさくて寂しさを盛り上げています。
 その袴、やっぱりはくんでしょうねぇ。 はきたくないですねぇ。

 秋の雨 香爐の烟 つひに絶えぬ

 べつになんということもない現象なのですが、つひに、という文句が効いていますねぇ。
 なんということもない現象が、限りない寂しさを象徴しているように感じられるから不思議です。

 わずか三つの秋雨の句を見ただけで、秋雨が象徴するものが見えてくるような気がします。
 詩歌上の風情はともかく、日々を暮らす私たちは、できれば秋晴れのほうが良いですね。
 天気予報によれば週末はお天気に恵まれるとか。
 嬉しいですねぇ。

子規句集 (岩波文庫)
高浜 虚子
岩波書店

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