移住

文学

 昨日も今日も雨。
 今週は大体雨の予報。
 梅雨とはいえ、鬱陶しい天気が続きます。

 樹も草も しづかにて梅雨 はじまりぬ

 日野草城の俳句です。

 梅雨といえば、静かな、しとしと雨の印象。
 豪雨のイメージはありません。

 梅雨といえば、梅雨寒。
 暑がりの人、寒がりの人、色々で、着ている衣服の様子が多様なのもこの時期の特徴。

 私は40くらいまではどちらかといえば暑がりだったのですが、なぜか40代後半から極端な寒がりになり、この時期、半袖を着ている人が多いなか、下は股引、上はジャケットが欠かせません。

 若い頃は張り詰めたような空気を感じさせる冬を好んでいたのですが、今はダメです。
 千葉ごときの冬でも、起毛した下着を着なければやれません。

 よく年とともに嗜好が変わってくると言います。
 それは私にも表れており、つい最近まで甘い物は一切受け付けなかったのが、少量ならおいしく感じられるようになりました。
 それと同じで、気温に対する感じ方も変わってくるようです。

 わが国は四季の変化がはっきりしていて、だからこそ手紙なら時候の挨拶、俳句なら季語と、季節を大切にしてきたのでしょうね。

 私はそんな文化を好ましいものと思っていますが、ここ数年冬がつらくて、奄美でも沖縄でも、暖房いらずの南国で暮らしたいという思いを抱くようになりました。

 都会で働いていても、引退後、地方に居を移す人を見かけます。
 職場の先輩に、定年後、都内の自宅に妻子をおいて、奄美に移り住み、釣り三昧の日々を送っている方がいます。

 うらやましい話です。

 文化人にもいますね。
 倉本聰は北海道、宮本亜門は沖縄。

 両極端ですが、どちらもなんとなく分かります。

 でもいざ引っ越すとなると大変でしょうねぇ。
 まずどこに住むか候補を決めて、行ってみて、物件を探して、金もかかって、文化の違いも乗り越えて。
 特に食の違いは大きいでしょうね。
 遠くに行けば行くほど食文化は異なるし、毎日のことですから。

 後は病院ですかね。
 私の場合精神科と内科に定期的に行っているので、それらが近くにないといけません。
 特に精神科は医者との相性が大きいので、難しいところです。

 そう考えてくると、定年後、慣れない土地に移住するのは億劫この上ないことです。
 年を取れば何事も億劫になるでしょうから、移住には気力体力双方が充実していないと無理でしょう。

 だからこそ、軟弱者の私は就職時、東京脱出を求めながら、すぐお隣の千葉県までしか行けなかったんでしょうね。

 なので、私は千葉県と東京都にしか住んだことがありません。

 千葉県に引っ越してみて、お隣なのにずいぶん違うんだなあと思いました。
 言葉でも食い物でも気質でも。
 それらは、概ね東京よりも好ましいものでした。
 住んでみないと分かりませんね。

 例えば沖縄に移住するとして、文化の違いを楽しむことが出来ればいいと思います。
 すっかり沖縄人になりきって、二度と首都圏には戻りたくないと思えるのなら、是非移住してみたいですねぇ。