米国独立記念日

思想・学問

 1776年7月4日、米国は独立を宣言しました。
 それから236年。
 ここ60年ばかり、世界は米国が掲げる自由と民主主義という正義の名の下に支配されています。
 独立当時、誰がこのような超大国になると思ったでしょう。

 米国は長いこと、モンロー主義という外交政策を採り、他国の争いには干渉しませんでした。
 しかし米西戦争やハワイ併合などの経験から、しだいにモンロー主義を破棄、前世紀の二つの世界大戦では主要プレーヤーとして多いに敵を苦しめ、残虐に殺しました。

 第二次世界大戦後はヨーロッパの帝国主義国家が次々と植民地を失って昔日の栄光を失うなか、ほとんど全世界を経済力で事実上植民地化していき、現在の繁栄があるわけです。

 当然、強い者は妬まれますし、価値観の押しつけが甚だしいので、9.11テロをはじめとする反米勢力も根強く残っています。

 わが国は防衛の大半を在日米軍に依存しているため、基本的に米国に追従せざるを得ず、独立国なのに自国の防衛を自国の力でまかなえない、という誠に情けない状況が昭和20年8月15日以降、延々と続いています。

 昔、「7月4日に生まれて」という映画がありました。
 トム・クルーズ演じる7月4日、米国独立記念日生まれの青年がベトナム戦争に駆り出され、下半身不随となって帰国します。
 当時のLOVE&PEACEみたいな雰囲気の中で、ベトナム還りというだけで差別され、体も心もぼろぼろになります。
 多分童貞であったのであろう主人公が、厳格な母の前で涙を流しながら「俺のペニス、俺は使ったことがない」と絶叫し、母は冷酷な目でそれを無視するシーンは迫力でした。

 いずれにしろ、7月4日と言う日は米国にとって特別な日であるようです。

 わが国の建国記念日、2月11日は、神話から計算して割り出した神武天皇が即位したであろう日ということで、なんだかあんまり昔過ぎて分けが分かりません。
 わが国の国柄から考えて、ある日突然国家ができた、という意味での建国記念日というのは、ほとんど意味がないように思います。
 なんとなく、ゆっくりと、国が出来ていったのでしょうから。

 米国人がこの日に寄せる特別な思いを、我々日本人が正確に理解することは難しいでしょう。
 しかし米国人の強い愛国心に学んで、わが国も建国記念日や国を成り立ちを描いた古事記日本書紀などの日本神話に親しみたいものです。

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トム・クルーズ,ウィレム・デフォー,ブライアン・ラーキン,レイモンド・J・バリー,キーラ・セジウィック
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