昨日NHK-BSの歌舞伎の番組を観ていて、義経が見目麗しい美少年として描かれるようになったのは江戸時代からだと知りました。
たしかに、中尊寺に伝わる義経の肖像は、なんだかやせた髭面のおっさんです。
中尊寺に伝わる源義経公像です。
お世辞にも見目麗しいとは言えません。
それが江戸時代になると、途端に変ります。
歌川重清の浮世絵です。
こちらは陰間のような色気を漂わせていますね。
わが国では少年愛は、女色とならんで大人の男の当たり前の嗜みでした。
団鬼六の小説に、「美少年」という佳作があります。
団鬼六の小説は一般的な意味での官能小説とは一線を画しているものと思われます。
濃厚な性描写は少なく、心理描写などが巧みに描かれます。
「美少年」は、団鬼六の自伝的な作品で、学生時代、日本舞踊の有名な家で育った少年がいわゆる同性愛者で、団鬼六に惚れてしまい、色々と鎌をかけてきますが、団鬼六はあくまでも男同士の友人として接します。
そんな時、番長のような両性愛者の男子学生が、美少年を浚って縛り付け、女子学生2人を交えて美少年を犯し、美少年を縛ったまま、女子学生たちと乱交を楽しみます。
そんなことがたび重なり、美少年はやがて精神を病んでいきます。
その間の美少年の心の襞、団鬼六の葛藤が見事に描かれ、読む者の心を打ちます。
義経が陰間のような扱いを受けたのか、男色を好んだのか、今となっては誰にもわかりません。
しかし男色家の美少年を、気持ちの悪いオカマ、と考えることは全く間違っていて、彼らは男同士の純愛を求めているのだなぁと、感じ入ったしだいです。
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