図書の移動などして、疲れました。肉体労働にはしんどい気候になりましたね。
私も今年で齢41。スポーツ選手なら、とっくに引退して後進の指導にあたっているところです。
ところが、平成16年に精神病になって以来、昇進と縁がなくなったので、いつまでたっても現役選手、実務者のままです。同世代というか、少し年下も含めて、多くは実務者を管理指導する役割になっています。
生涯一兵卒でいくのは気楽で、むしろ望むところですが、肉体的にはしんどいものですね。
これも成り行き。ああしてこうしてこうなった、と、よくわかっています。
実務者でいるからこそ感じる、老いというものがあります。
例えば相撲取りは、35にもなればもう堂々たる初老のような風格を身に付けますね。しかし親方になった途端、若手です。それと一緒で40を超えた実務者というのは、責任がなくて気楽な反面、年の割には手と体を動かす仕事が多く、しんどい面もあるのです。
プラトンは主著「国家」の冒頭で、老年についての対話を描いています。これまでこの部分はあまり注目されませんでしたね。しかし近頃の老人学のブームのせいか、この冒頭を取り上げた論文も散見されるようになりました。
その中で、プラトンは老年期を身体的欲望からの自由と平和が与えられ、言論や談話の喜びに与ることができる恵まれた年代としています。
しかしプラトンの弟子のアリストテレスは「弁論術」において、老人を卑屈で臆病な世代、と否定的に描いています。
また、「瘋癲老人日記」や「眠れる美女」には、老いてなお若い女に執着する老人が描かれますね。
これから来る自らの老いがどういうものであるのか、恐れをもって待たずにはいられません。
できることなら、プラトンが描いたような、幸福で平穏なものであってほしいものです。
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