花祭り

文学

 今日は潅仏会
 花祭りとも称される、お釈迦様の誕生祝いの法要を営む日です。

 私の実家はお寺ですので、毎年伝統にのっとって花御堂に誕生仏を安置し、甘茶をかけ、参拝客にも甘茶をふるまうお祭りを続けています。

 それにしても、潅仏会がクリスマスなどに比較してあまり行われないのは、じつに嘆かわしいかぎりです。

 わが国の文化は、仏教的無常観、神道の清明心、儒教の忠孝、土俗的な儀式などが渾然一体となって成り立っています。
 わけても仏教は、その深い精神性から、わが国文化の中心と言うべき巨大なもので、仏教の知識なしにわが国の文芸や舞台芸術、古典芸能を理解するのは不可能です。

 安岡章太郎の小説に、「花祭」という佳品があります。
 成績が悪く、素行不良のが、中学の先生が住職を務めるお寺に入院?させられる話です。
 思春期の男の子の、性の目覚めや様々な葛藤がユーモラスにつづられて、瑞々しい印象を受けます。
 私自身が就職して独り暮らしを始めるまでお寺で生活していましたので、身につまされるというか、親近感を感じましたね。
 安岡章太郎が、第三の新人などと呼ばれる一派にくくられ、なんとなく軽く扱われている感じがするのは、解せません。
 もっと巨大な作家だと思うのですが。
 彼の作品には、どこか余裕とかユーモアが漂っていて、私は好んでいます。
 思春期の少年というのは文学や映画の題材としてはお馴染みのものですが、「花祭」は出色の出来です。

 その手の映画では、北欧を舞台に小さないたずらを繰り返す男の子を描いた「マイライフ・アズ・ア・ドッグ」と、ホラー小説の巨匠、スティーブン・キングの自伝的な作品で、少年たちの小さな冒険を描いた「スタンド・バイ・ミー」がお気に入りです。

 話が逸れましたが、潅仏会を広くわが国でお祝いしたいものです。

花祭 (新潮文庫)
安岡 章太郎
新潮社


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