今朝は蒸し暑いですね。
これからの梅雨の季節、ある在日ロシア人は「絶望的な季節」と呼んでいました。ロシアのような北国からみれば、なおさらそうでしょうね。
梅雨は、暑さのみならず湿気に苦しめられる季節でもあります。
私は、梅雨どきというものに、湿気の色気のようなものを感じます。
汗や髪など、体の匂いが鼻につき、ときにそれは魅惑的でさえあるのです。
身近かなる 男の匂ひ 雨季きたる
多く肉体を感じさせる句を残した桂信子の句です。
どこか汗ばんだ不快のなかに、色気を感じます。
元来日本は夏が過酷で、そのために日本家屋は夏をしのぎやすいようにできています。京都の町家しかり、古い農家しかり。
現代ではエアコンが普及しており、内勤であれば夏でもほとんど快適に過ごせます。蛇口をひねればお湯がでるので、いつでも汗を流せます。しかしほんの数十年前の日本では、夏は暑いものと決まっており、昼は炎天下で労働し、夜は寝苦しかったことでしょう。風呂も毎日は入れなかったのではないでしょうか。
だからこそ、様々な工夫をして、夏を楽しもうとしたのでしょうね。
今さらエアコンのない生活など想像もできませんが、ときにはエアコンを消して、夏の深夜にロウソクを灯して百物語でも楽しみたいものです。きっといやな汗をかくでしょう。