藪入り

文学

 江戸時代、藪入りという習慣があったそうです。
 3年間奉公すると、年に2度、3日程度実家に帰れるという嬉しい習慣です。

 通常、1月16日と7月16日が藪入りとされていたそうです。
 つらい奉公に耐える子供にとっても、迎える親にとっても待ちに待った日でしょう。

 それを思えば、週休2日、年休も20日あって、祝日にも休める現代のサラリーマンは恵まれています。

 しかし、別れはすぐにやってきます。

 藪入りや 犬も見送る かすむまで
 
 こんな川柳が残っているほど、藪入りの終わりは切ないものだったようです。

 しかし、奉公先で経験を積み、成長した子供は親許で過ごすのが退屈だった場合もあるらしく、友人と遊んでまわっていたという話も伝え聞きます。

 藪入りの 二日は顔を よそに置き

 そんな奉公人の様子を表した川柳です。
 お年頃の奉公人には、親許は堅苦しかったのかもしれませんね。

 今も中学生くらいになると親が疎ましく感じるのがむしろ普通ですから。

 江戸時代の奉公人やその親の切ない願いを乗せた藪入り
 多くの落語の題材にもなっています。

 私たち現代のサラリーマンは、古人の苦労を偲び、あまたの労働運動などに身を投じた方々のおかげで、現在の労働環境を得られているのだと、感謝すべきでしょうねぇ。

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