被害者感情と公の秩序

社会・政治

 韓国の高等裁判所が、新日鉄住金に戦時中の徴用工に賠償金を払えと命じた判決を出しましたね。
 最高裁で判決が確定した場合、新日鉄住金は取引先に迷惑がかかるといけないから、支払いに応じざるを得ない、という見解を示していました。


 ところがこのたび、わが国政府はこの問題に介入する意志を示しました。

 最高裁で判決が確定したなら、国として国際司法裁判所に訴えるので、新日鉄住金には支払いに応じないよう求めたとのことです。

 頼もしいですねぇ。

 最初、政府は不介入と言っていましたが、もしこれを認めれば、我も我もと韓国で訴訟沙汰が起き、昭和40年の国交正常化に伴い締結された日韓請求権協定で、「完全かつ最終的に解決された」と明記された請求権の問題が白紙に戻り、戦後の日韓関係は根底から覆ることになってしまいます。

 すでにわが国は、国交正常化の時に5億ドルを支払い、その後も公共工事などで協力してきており、それがために今日の韓国の発展があると言っても過言ではありません。

 韓国の裁判所は、非人道的行為の責任は免除しないとする司法判断を下したわけですが、そのこと自体はまともな判断だと思います。
 
 しかし、これは非常に大きな問題に発展する可能性があり、司法判断にただ従うのではなく、高度な政治決着が必要かと思われます。

 例えば、今のところ個人補償を求める裁判を起こしていない中国人が、日本は裁判所の判断にそのまま従うと知れば、次々に訴訟を起こすでしょう。

 また、わが国はわが国で、旧ソ連が行ったシベリア抑留などへの個人補償を検討しなければならなくなるでしょう。

 さらに、非常に複雑な、わが国で言う戦国時代のような戦乱を繰り返した欧州において、個人補償を持ちだしてしまったら、これは収拾がつかなるなるでしょう。

 心情としては、ひどい目にあったのだから賠償してほしいというのは分かりますが、公の秩序を乱すわけにはいきません。

 わが国政府には、踏ん張ってもらいたいですねぇ。

 
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