菅総理が、民主党政権になってから認めていなかった官僚による省庁間の政策調整を認める旨の発言があったそうですね。
遅きに失した感は否めませんが、少しまともになったのは喜ぶべきことでしょう。
大臣・副大臣・政務官の政務三役だけで膨大な案件を他省庁と調整するなど、不可能なことは誰の目にも明らか。
第一、税金で雇っている官僚に仕事をやらせなくては、道義にもとるというものです。
11月でしたか、当時の枝野幹事長代理はある講演会で「政治主導なんてうかつなことを言った。与党がこれほど忙しいとは思わなかった」と、いくら野党とはいえ長く国政に携わっていた人とは思えない発言をして、世の失笑を買いました。
なんだか民主党は官僚を目の敵にして責め立てていれば支持率が上がると勘違いしていたようです。
各省庁の設置法を斜めに読むだけで、各省庁が抱える仕事の膨大さは想像がつきますし、それを政治家だけでまわしていこうとは、じつに馬鹿げた大風呂敷というべきで、各省庁には万単位の役人が雇われているのですから、政務三役の役割はこれらをおだてたりすかしたりしながら、気持ちよく働かせることでしょう。
大方針を政務三役が掲げて、役人に効率的な実行をさせれば、それで十分政治主導と言えると思います。
何から何まで政治家が行うのは無理です。
それと、政府提出の法案が膨大ですが、これをなんとかしないと政治主導とは言えないと思います。
政府提出の法案というのは、要するに役人が書いたものを、政治家が決裁しただけです。
役所は法律に基づいて行政を行う行政府であって、法律を作る立法府は国会です。
国会議員が法案を提出しなければ、三権分立に違反します。
それを、議員立法と言って、議員がきちんと働いた珍現象のように言われるのは、本末転倒です。
議員立法という言葉は、白い白馬のような、言語矛盾です。
国会議員が法案の素案から全て作れば、相当数の役人を削減できるでしょう。
もっともそのかわり、今以上に政策秘書を手当しないといけないだろうとは思いますが。
菅総理は日に日に進化または豹変していっています。
市民運動家の頃の言動が嘘のようです。
長く政権を維持し、大きな果実を国民にもたらしてくれることを期待しています。



