迷妄

仕事

 朝から微熱があって、横になっていました。
 そんな時は、碌なことを考えません。
 
 私は小役人として禄を食み、人並みの生活をしてきました。
 車を買ったりマンションを買ったり。
 愚かにも結婚までしてしまいました。
 しかしそれは、生活上の必要あってやむを得ずしてきたこと。

 仕事というもの辛いものですが、それをやって、どうにか生きてきました。
 しかし、青年の頃思い描いていた生活とはかけ離れたものです。
 とんだ俗物に変化してしまいました。

  微熱がそうさせるのか、本心なのか。
 50を超えたおっさんは、未だに迷妄の森をさまよっているのです。