男というものは一般的に言って追う性で、追われることが嫌いな傾向があるようです。
少なくとも私はそうです。
追われてる、とかしつこい、とか感じたら、100年の恋も覚めるというものです。
もっとも近頃草食性と称されている男性陣は、積極的な女性を待っているらしいですが。
高橋幸宏の曲に、
愛されすぎると、逃げたくて、
というフレーズがあり、わが意を得たりと思いました。
永井荷風の「墨東綺譚」では、主人公の小説家が、玉ノ井の私娼と馴染みになって、私娼からおかみさんにしてくれ、と頼まれると、もう通うのを止めてしまうというストーリーになっていました。
永井荷風は独身を貫きましたが、きっと女性関係は色々あったのだろうな、と思わせる私小説風の作品です。
小説ではあまりしつこく描かれていませんが、津川雅彦が主人公を演じた映画「墨東綺譚」では、彼を思い、何年もきっと迎えにきてくれるはずだ、と私娼窟でその人を待ち続ける女の執念を、墨田ユキというAV出身の女優が演じていて哀れと恐怖を誘いました。
津川雅彦と墨田ユキの濃厚な濡れ場もあって、文芸作品のような、ポルノのような映画に仕上がっています。
私はさして親しくもない女に誕生日プレゼントをねだられて、その瞬間から一切の連絡を絶ちました。
プレゼントなんていらないから連絡してください、というメールが何通も来て、ことごとく削除しました。
酔っぱらって私に抱きついてきた女がいて、その女を無視していたら、職場中に私がその女を犯したかのような嘘八百を並べ立てていましたが、私はそれも完全に無視しました。
その点、現在の同居人は私を放っておいてくれるので、気が楽です。
同居人殿に、感謝。
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