今朝のニュースで、12代市川団十郎が66歳で亡くなった、との報にふれました。
先般中村勘三郎を喪って間もない時期に、当代の歌舞伎界を代表する大看板が亡くなるとは、残念でなりません。
12代は顔や姿は良いのですが、声が悪くて様々な悪評がたち、苦労されたようですが、市川宗家伝統の、勧進帳などの荒事を再生させ、歌舞伎界に貢献しました。
尾上菊五郎と並び称され、二人が共演する団菊祭は当代の歌舞伎で最も人気がありました。
私は小柄ながら顔良し声良し姿良しの三拍子そろった尾上菊五郎のファンですが、それもライバルの市川団十郎あってのこと。
2人で切磋琢磨したことでしょう。
12代の晩年は白血病との闘病に苦しみながら舞台に上がり続ける壮絶なものでした。
市川団十郎という名前はミスター歌舞伎とも言うべき大名跡ですから、強い責任感が無ければ務まりません。
常に歌舞伎界全体のことを考えていたのでしょうね。
東日本大震災の際、節電のため興行中止も考えたそうですが、苦しい時でも人には娯楽が必要だという信念から、舞台の照明を20%も落として興業を続けましたね。
市川家は成田山新勝寺を菩提寺とし、成田屋と呼ばれました。
歌舞伎の公演では客席から、見得を切るときなどに、なりたやっと短い掛け声がかかり、華やかな雰囲気に包まれました。
ご冥福をお祈りします。