近頃法務大臣が二つのフレーズで国会答弁を乗り切ってきただの、官房長官が自衛隊は暴力装置と言っただの、事業仕分けは民主党の内紛の場になってしまっただの、幹事長代理にいたっては政治主導と言ったのはうかつだっただの、政権末期の断末魔の叫びのような様相を呈してきましたね。
菅総理は安全運転を心掛け、失言は少ないようですが、民主党政権が誕生して一年ちょっと、もうこの政権ではダメなんではないの、という気が日増しに強まってきました。
子曰く、其の身正しければ、令せずして行わる。其の身正しからざれば、令すと雖も従われず。
論語子路に見られる言葉です。
政治的リーダーは行いを正しくすれば命令を下さなくても自然に政治が行われる、行いが正しくなければ、命令を下しても人はついてこない、というほどの意味かと思います。
今の民主党の幹部諸氏の行いが正しいかどうかは疑問ですね。
少なくとも、民主党が掛け声をかけても、国民はついていかないんじゃないでしょうか。
無駄を削って財源を生み出すと言っていましたが、それは不可能な状況だし、目玉政策もぶれにぶれまくっています。
長妻議員が厚生労働大臣のときに通した予算を、今度は同じ長妻議員が仕分けするというのですから、笑うに笑えない話です。
中露には恫喝まがいのことをされ、米国は普天間問題が決着しないことに苛立ちをつのらせています。
円高で国内産業は空洞化し、わが国ではもはやモラルの低下が始まっている状況です。
しかしこれといった打開策は思いつきませんね。
現政権は日々の仕事をこなすのが精いっぱいで、戦略を練って政策を実現しようという雰囲気ではありません。
子曰く、過ちて改めず、是れを過ちと謂う。
論語衛霊公に見られる言葉です。
これがなかなか難しいのは、人が過ちを犯しても、言い訳に終始する様を思い浮かべれば容易に想像がつくでしょう。
しかし現政権が取り組むべきは、マニフェストに縛られることなく、過ちは過ちと認めて、現実に合った政策を打って行くことではないでしょうか。
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