昨日、「呪術意識と現代社会」という呪術に関する社会分析を試みた本に目を通しました。
驚いたのは、膨大なアンケート結果から、農村部や地方都市部よりも、東京23区民のほうが、明らかにオカルト的なものや呪術的なものに捉われている、ということが判明したそうです。
しかも面白いことに、下町の町工場などに勤務する人より、山の手の高級住宅街に住む人のほうが親呪術的であり、高齢者や若年層よりも中年の中間管理職のほうが親呪術的だというのです。
一般のイメージでは学歴が高い中年は呪術的なものに拒否反応を示す、と感じていると思われます。しかし、事実は逆なのです。
呪術的なものといっても、呪いや占いなどのオカルティックなものから、初詣や忌み日など、伝統文化的なものまで、さまざまに分けられます。
私は、呪術的なものに対しては、極めてニュートラルな立場です。
初詣や忌み日は習慣として行います。
呪いや占いの有効性は分からないので、それに意味があるともないとも言えません。
科学的に証明されていないことも、それが本当であれば、いずれ証明されましょうし、嘘であれば忘れ去られるでしょう。
しかし、人類史上、どこの文明にも呪術的なものが存在したということは、人類は直感的にせよ、それが本当だと信じてきたのだろうと思います。
現在の日本仏教や神道は、神秘主義的な面をおろそかにしているように思います。
もともと日本の伝統的宗教において、神秘主義は極めて重要な一面であったでしょうに。
![]() | 呪術意識と現代社会―東京都二十三区民調査の社会学的分析 竹内 郁郎,宇都宮 京子 青弓社 このアイテムの詳細を見る |