文学



  ふだんは麦焼酎のいいちこを水割りで飲んでいます。
 しかし一番好きなのは、土佐の栗焼酎「火振り壺入り」です。
 ただこの焼酎は1本六千円もし、しかもあまり売っていないので、なかなか飲めません。時折、製造元にインターネットで注文し、楽しんでいます。

 酒というのは、いかにも不思議な飲み物です。
 適量なら薬ともなりますが、飲みすぎれば命を削ることになります。
 学生時代は酔いつぶれるまで飲むこともありましたが、最近は、ほろ酔いくらいで十分な酔い心地です。

 命を削ってまで酒を愛した歌人に、若山牧水がいます。

 「白玉の 歯にしみとほる 秋の夜の 酒はしづかに 飲むべかりけり」
 この歌は、いかにも宴会嫌いな酒好きの心境です。もっとも牧水は、秋だろうが春だろうが季節を問わず、毎日一升もの酒を飲んでいたそうです。

 「鉄瓶の ふちに枕し ねむたげに 徳利かたむく いざわれも寝む」
 気持ちよく酔って眠くなった、その心地よさが感じられます。

 牧水は43歳で肝硬変のため亡くなります。
 遺体は、夏場にも関わらず数日を経ても腐臭がせず、生きたままアルコール漬けになっていたのか、と医者を驚嘆させたそうです。

 私は酒と心中する気はありませんが、ほどほどに楽しんでいきたいと考えています。