酒のむ独り

文学

  ずいぶん涼しくなってきました。
 朝夕は肌寒いほどです。
 季節は確実にめぐっているのですねぇ。

 月見酒の旨い季節ですが、私は月がでていようといまいと、独り、毎夜の晩酌を楽しむ愚か者です。

 月花も なくて酒のむ 独り哉

 俳聖、松尾芭蕉の句です。

芭蕉全句集 現代語訳付き (角川ソフィア文庫)
雲英 末雄,佐藤 勝明
角川学芸出版

 雄大でスケールが大きい俳句を詠むイメージがある俳聖ですが、こんな内省的というか、寂しい句も詠んでいるのですねぇ。
 俳聖といえども人であったかと、少し、ほっとします。 

 なんとなく親近感がわきます。

 わが国では、酒と風流を結び付けて考えがちですが、本当のところ、酒呑みというもの、風流を感じようと感じまいと、酒を呑むものです。

 呑んでは体に毒だと思いつつ、今宵も独り、呑んでしまうのでしょうね。
 月があろうとなかろうと、花があろうとなかろうと。

 独り呑む酒は、愉快になることもあれば、果てしも無く内省的になり、私を落ち込ませることもあります。
 でもその落ち込みは、なぜだか心地よかったりするのです。

 あぁ、酒を控えなければ。


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