野分

文学

 二百十日頃に吹く強い風を、野分と言いますね。
 今でいうなら秋の初めの台風ということですが、台風というのと野分というのでは、ずいぶん趣が違います。
 
 「源氏物語」28帖には「野分」というタイトルがついています。
 激しい風が吹く秋の日の出来事を物語っていますが、この物語全編を貫く色恋の情の激しさを象徴したものかと思われます。

 
片ぞらに 雲はあつまり 片空に 月冴ゆ野分 地にながれたり  若山牧水

 
近代歌人で私が最も敬愛する若山牧水の歌の中から、野分を詠んだものを選んでみました。
 野分が行ってしまう情景を雄大に詠んでいます。
 やっぱりただの大酒のみではありません。

 
きのふけふ 野分吹けども 枝葉のみ 茂り暗みて ダリヤは咲かず  若山牧水

 こちらはどこかメランコリックな詠調ですねぇ。
 こういうちょっと女々しい和歌も牧水先生の魅力なんでしょうねぇ。
 
 今日は台風一過で真夏に戻ったようですが、明日からはぐっと涼しくなるそうです。
 ふらふら散歩の季節ですねぇ。

若山牧水歌集 (岩波文庫)
伊藤 一彦
岩波書店
いざ行かむ、まだ見ぬ山へ―若山牧水の歌と人生
伊藤 一彦
鉱脈社
源氏物語 (角川ソフィア文庫―ビギナーズ・クラシックス)
角川書店
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源氏物語 (まんがで読破)
紫式部,バラエティアートワークス
イーストプレス

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