1968年の今日、いわゆる金嬉老事件(きんきろうじけん)が発生しました。
私が生まれる前年のことです。
事件の発端は、借金トラブルがもとで暴力団員2人を射殺したこと。
その後ある温泉旅館で宿泊客・従業員あわせて13人を人質に立てこもり、カービン銃やダイナマイトで武装してその様子がテレビ中継され、わが国初の劇場型犯罪として大きく取り上げられました。
金嬉老は人質釈放の条件として、在日韓国・朝鮮人への警察などによる差別的行為への謝罪を要求。
それ以外にとくだんの要求を出さなかったことから、母国、韓国では朝鮮人差別に抵抗した英雄として扱われることになりました。
裁判では無期懲役が確定しましたが、1999年に70歳で仮釈放となり、わが国へ永久に入国しないことを条件に韓国に帰国しました。
これだけ見ると義賊のようにも感じますが、この人、少年の頃から犯罪を繰り返し、少年院や刑務所にたびたび収監されているのですよねぇ。
帰国後、1979年に獄中結婚した女性と同居していましたが、2000年、夫人は金元受刑者に韓国政府が支払った多額の生活定着金を持って逃走、逮捕されたそうです。
さらに、同じ年、金嬉老は愛人の夫の殺害を計画、殺人未遂と放火、監禁事件を引き起こして服役。
英雄視していた韓国国民からの人気は地に落ちたということです。
2010年、82歳で死去。
犯罪に明け暮れた人生だったのですねぇ。
私の知り合いに犯罪を犯して逮捕された者はいませんが、生まれついての犯罪者気質の者が、あるパーセンテージでいつの時代にも必ず存在するようで、だからこそ警察も刑務所も無くならないのでしょうねぇ。
馬鹿と言えば馬鹿。
欲望に正直と言えば正直。
私のような堅い仕事に就いた真面目人間からは想像もできない生き方です。
そういう風にしか生きられない人間の存在に深い同情を覚えずにいられません。
高倉健主演の「幸福の黄色いハンカチ」で、主人公が喧嘩沙汰の末に殺人を犯し、それはしかも何度目かの犯罪で、「なんで俺はこんなヤクザな質に生まれついちまったんだ」と嘆くシーンがあります。
教育などである程度犯罪の発生を抑えることは可能でしょうが、これを完全に根絶することは未来永劫不可能でしょうね。
人間にはどうしても犯罪に走ってしまう者が必ず存在するのだということを肝に銘じ、また、私たち真面目人間もどういう形でか犯罪に手を染めてしまう可能性があるということをも自覚して、犯罪の少ない社会を目指したいものです。

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