私は高校生の頃、サド侯爵の狂気じみたアンチ・キリストの文学作品に熱狂しました。
それはことごとく後にサド裁判で有罪となる渋澤龍彦訳のもので、金子国義の挿絵が挿入されていました。
当然のように、私は金子国義の絵画作品にも熱狂することになります。 「かもめ」です。
妖しいエロティシズムが感じられます。 「悪徳の栄え」です。
アンチ・キリストの象徴でしょうか。 「火の番をする女」です。
嫌になってきましたか?「股のぞき」です。
最後に最も有名な、「アリスの画廊」です。
サド侯爵の文学同様、濃い感じの作品群で、それは幻想的ともユーモラスとも感じられます。
私はこの魔道へ足を踏み外しそうになりましたが、大学入学後、嫌と言うほど古文漢文を勉強させられ、魔道に落ちることはありませんでした。
しかし今でも時折、魔道への誘惑に囚われることがあります。
そんな時は逆に、思いっきり魔道へ導く書物や絵画に触れることにしています。
そうすると、くどい料理はすぐ飽きるのと同様、飽きてくるのです。
そういえば渋澤龍彦は稲垣足穂をわが魔道の先達とよんでいましたっけ。
稲垣足穂は「少年愛の美学」で日本文学大賞をとり、不本意だったようですが、メジャー作家になってしまったのでした。
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