もう五年以上前になりますでしょうか。
私の友人の女性が、現代美術家と結婚して、個展をやるので見に来てほしい、との招待を受けました。
渡辺五大という作家で、元は東京藝術大学の先生だったらしいのですが、作品制作の時間が欲しいと、大学を退職して作品制作に打ち込んでいるストイックな人らしい、と聞きました。
彼女は貧乏でもいいから夢を追う人と一緒になりたい、と日頃から言っていましたので、ぴったりの相手と結婚したのですね。
恋多き女性というか、失恋話にずいぶんつきあいました。
で、鎌倉でやっているという個展に出向きました。
タイトルはずばり、鎌倉銀閣。
要するに荒れたお堂に銀紙を貼り付けただけのものです。
しかしなぜか、それが山中の隠れ家のような立地と相まって、幻想美を醸し出しているのです。 鎌倉銀閣です。
そこで、作家本人と会い、言葉を交わしました。
もっと狂気じみた芸術家を想像していたのですが、いたって常識的な、一見するとサラリーマンのような人でした。
残念ながら奥様と再会、というわけにはいきませんでしたが、二人の子供に恵まれ、元気に過ごしているとのことで、安心しました。
友人の旦那さんというだけに留まらず、何か面白いことをやってくれそうだと、期待しているのです。
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