長期病気休暇中の先輩、いよいよ復帰に向けて出勤訓練開始

精神障害

 うつ病で長く休んでいた先輩が、今日から出勤訓練を始めました。

 とりあえず勤務時間に合わせて、朝、8時30分までに職場の前まで来て、そのまま帰るという日々を、2週間ほど続け、うまくいったら今度は半日勤務をしばらく続けて様子を見、少しづつ勤務時間を長くしていこうということのようです。

 ソフト・ランディングをめざし、ゆっくりと、完全復帰を目指すようです。

 私も4年前、そんなことをしました。

 幸い私はその後順調に出勤を続け、今ではむしろ他の職員よりも多い仕事を任されています。
 それというのも、ここは踏ん張り所だと思うと、私は異常な集中力を発揮し、誰もが舌を巻くようなスピードで仕事を仕上げるからです。

 しかしそれは、じつは病気のせい。
 抗躁剤で抑えている躁状態が、わずかの時間、訪れるのです。
 躁状態に陥ると、脳がフル回転し、通常ではありえない能力を発揮してしまうのです。

 田中角栄や、偽メール事件で自殺した民主党の永田元議員も私と同じ病気だったと伝えられます。

 ただし、脳が異常な働きをしている以上、躁状態が長く続けば、必ず、脳は激しい疲労に襲われ、今度は立ち上がれないような元気の無い状態になり、これがうつ状態です。

 これを繰り返すのが双極性障害ですが、私の場合、抗躁状態が良く効いているため、仕事上やむ得ず躁状態に陥って異常なスピードで仕事をこなすことがあっても、その状態は長くは続かず、したがってうつ状態に陥ることもありません。

 これは働くうえでなかなか便利な状況で、それが故に私の評価は高まるばかりです。

 一方、出勤訓練を始めた先輩は、ここ15年ばかり、ちょっと出勤してはまた休むということを繰り返しており、これはひとえに重いうつ病であるにも関わらず、少し良くなったからと言って、その都度復職するからではないかと邪推しています。

 この先輩、過去15年で1年続けて出勤したことは一度しかありません。
 先輩には妻子もおり、そう簡単に退職することも出来ず、必死で長く働けるようになろうと、もがいているものと思われます。

 同病相哀れむの言葉どおり、先輩の心中を思うとき、私は同情の涙を禁じ得ません。

 しかし、表立っては言いませんが、酒席などでは、先輩を責める陰口を時折耳にします。

 確かに、事業を遂行するために雇われている職員が、そもそも出勤しないのでは、周りに負担をかけるし、そう言いたくなる気持ちも分からないではありません。

 しかし、例えば胃潰瘍とか十二指腸潰瘍で休んでいる人に、そういう陰口をたたくでしょうか。
 それはやはり、精神障碍者に対する差別意識が、根強く残っているのだとしか思えません。

 この4年ばかり、私は人並み以上に多くの仕事をこなし、人事担当の管理職から、来年度には昇任させる、ということをにおわすような発言を受けました。
 それでも、一般的な年齢よりも、ざっと7年遅れの昇任になります。

 随分遠回りし、多くの後輩が私より上の職階に上がり、今の私の直接の上司は5歳も年下です。
 その上司はずいぶん私に遠慮し、尊重してくれます。
 それはしかし当たり前のこと。
 経験も知識も判断も調整も交渉術も、私の足下にも及ばないわけですから。

 私はそれらのことにとくだん不満を持っていません。

 人生の要諦は、いかに幸福感をもって生きられるかだと思います。

 仕事命で、出世が生きがいみたいな人はともかく、私は、仕事はきちんとこなすにしても、仕事で自己実現を果たそうとは思っていませんし、そもそもあまりにくだらなくてつまらぬ仕事で自己実現を果たそうとするのは不可能なことです。

 先輩が出勤訓練を始めたと聞いて、私はかつて苦しんだ精神障害を思い出し、泥沼の状態から何度も抜け出そうとし、その都度失敗を重ねてきた先輩が、今度こそ順調に職場復帰を果たしてくれることを願ってやみません。


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