開放感

仕事

 怒涛の5日間を皆勤し、わずかな開放感に浸りながら、焼酎のロックをちびちびやっています。

 それにしても、何事もなく平和に5日間が過ぎたという記憶がありません。
 組織で働いていれば、必ずくだらぬ問題が日々持ち上がり、例えくだらなくてもそれを解決するにはそれなりの理屈を立てて、上司や他の部署を説得し、正しいルートでオーソライズしなければなりません。

 働くというのは誠に面倒くさいことです。

 私が勤務してきたのは、いずれも文部科学省所管の国立研究機関や国立大学です。

 おそらく世間的には、暇で気楽なイメージを持たれていると思います。

 私自身、暇で気楽そうだと思って就職したのです。

 しかし、それら機関には、ラインで動く組織人たる行政職と、研究命のスタッフたる研究教育職員がおり、これが協業して仕事を進めようとすると、元々の行動原理が異なるため、軋轢を生むことがしばしばあります。

 行政職にある者にとって、何より重要なのは、法律や規則に照らして適切であるかどうかということ。
 また、新たな状況が生まれればそれに即して規則を改廃することが重要です。
 とくに昨今、財政状況厳しいおりから、予算の執行に関しては厳密さが求められます。

 しかし、研究教育職員は、基本的におのれ一人の業績を上げることを第一に考えるきらいがあり、学部長や学長などの管理者はともかく、ヒラ教授などは、法律すれすれどころか、明らかな法令違反を行って、時折新聞沙汰になったりします。

 また、最近はハラスメントということを厳に戒める傾向があり、セクシャル・ハラスメントやパワー・ハラスメントは少しづつ減ってきていますが、教授などが大学院生や助手などに行うアカデミック・ハラスメントは一向に減りません。
 むしろ、博士号まで取りながら就職口がなく、非正規で働いているポスト・ドクターが激増し、彼らに対するアカデミック・ハラスメントは増えているようです。
 私も何度かそういう非正規雇用のポスト・ドクターから相談を受けたり愚痴をこぼされたりしました。

 学者の世界というのはずいぶん狭いらしく、しかも徒弟制度みたいのものが残っていて、いったん常勤の職に就いてしまえば良いですが、立場が不安定なポスト・ドクターは、常勤の職を得んがため、アカデミック・ハラスメントを喰らっても泣き寝入りすることが多いようです。

 気持ちは分かります。

 私にパワー・ハラスメントを行ったのは、もともと研究教育職にあり、たまたま管理職に就いた者だったため、私が生きる行政職とは関係ないがために弁護士を立てて訴えるということができました。

 しかし、同じ行政職の管理職に対しては、遠慮してしまったかもしれません。

 おおむね学長というのは研究教育職にある者が就きますが、無名の私学などは、文部科学省のキャリアなどを天下り先として受け入れる例が見られます。

 あれはたぶん、文部科学省の人脈を利用したいということと、マネージメントということに関しては、学者出身よりも行政職出身のほうが向いていると判断したがゆえでしょうねぇ。

 今宵の開放感ある酒も、わずか二日後には週の始まりに対する恐怖を打ち消す切ない酒になってしまうとは。

 しかしまぁ、病歴がある私に人並みの給料を払ってくれる職場に感謝しなければバチが当たります。

 今宵は先のことは忘れ、今宵の開放感を楽しむことといたしましょう。

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