昨夜はかなりきついDVDを観ました。
「隣の家の少女」です。
暗黒作家とも言われるジャック・ケッチャムのベストセラー小説を映画化したものです。
実際に1950年代にアメリカで起きた事件を題材にしています。
両親を事故で亡くした高校生と小学生の姉妹が、親戚の家に引き取られます。
その家の家族は中年の婦人と四人の息子だけでした。
初めのうちこそうまく生活していますが、やがて婦人は姉妹、とくに姉に辛くあたるようになります。
そんな頃、隣の家に住む12歳の少年と姉が知り合い、友達になります。
婦人の姉に対する態度は尋常なしつけの閾を超え、虐待になっていきます。
少年と少女は美しい田園風景のなかでザリガニをとったり、絵を描いたり、親交を深めていきます。
おそらく少年にとっては初恋だったのでしょう。
しかし婦人は姉が生意気だとして地下室に軟禁。
ついには両手を縛ってつるし、思春期の息子たちに命じて全裸にしてしまいます。
さらには逃亡を図ったとの理由で息子たちに少女を強姦させ、焼けるナイフで姉の腹に「私は淫売です」と彫り、バーナーで姉の陰部を焼いてしまいます。
隣家の少年は一部始終を見るように婦人から強要され、心を痛めながらも、どこか楽しんでいる風情です。
哀れな少女は絶命してしまい、50年後、少女からプレゼントされた絵を眺めながら、初老に達した隣家の少年が当時を回顧します。
思い出にひたりながら森を散策する男の隣にはいつも虐待を受ける前の少女が笑顔でたたずんでいる、というノスタルジックとも残酷ともいえるラストを迎えます。
スティーブン・キングが、少なくともこの20年間で最も本質的に恐ろしい、ショッキングなアメリカ映画だ、まさに「スタンド・バイ・ミー」と表裏一体をなす作品と言えるだろう、と評した作品です。
「スタンド・バイ・ミー」は少年時代をノスタルジックに描いた表の作品で、こちらは裏の作品ということでしょうか。
身内を死ぬまで虐待する事件というのは、現代日本で後を絶ちません。
密室において圧倒的な力関係の差がある場合、人間はどこまでも残酷に成り得るようです。
怖ろしいことですが、私もまた、残忍な人間の一人であるということを肝に銘じなければなりません。
後味はかなり悪いですが、映画としての完成度は高いと言わざるを得ません。
ちなみに、モデルとなった婦人は懲役18年の刑に服し、出所後、1985年に亡くなったそうです。
息子たちはそれぞれ数年の刑を終え、今も健在だそうです。
なんともやりきれない事件、そして映画です。
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