雛祭り

文学

 今日は雛祭り、桃の節句ですね。

 実家では、妹がいたため、七段飾りの豪勢なお雛様を飾っていました。
 でもあれ、飾るのもしまうのも重労働なんですよねぇ。
 しまうのが遅れるとその家の女の子が嫁き遅れるとかいいますね。
 ま、何事も季節の行事はぱっと祝ってさっさとしまうのが良いということでしょう。

  雛祭る 都はづれや 桃の月
  与謝蕪村

 
この蕪村の句は雛祭りに主眼があるのではなく、桃の月、という春先の月に趣きがあるということでしょうねぇ。

 それでも、雛祭る、という文言に、華やかさが添えられています。
 都はずれの田舎でも、お雛様を飾って華やいだ雰囲気の中、月をめでようというわけで、二重におめでたいですねぇ。

 草の戸も 住み替わる代ぞ 雛の家  松尾芭蕉

 
こちらは俳聖、芭蕉の句。

 自分が住んでいた草の戸、すなわちあばら家も、旅に出て別の人が住むようになれば、お雛様を飾るような華やいだ家になるだろう、という、どことなく寂しいような、旅への執念を感じさせるような句ですね。

 旅に病んで 夢は枯れ野を かけめぐる 松尾芭蕉

 という、辞世を残し、あくまで旅を棲家として俳句の道に精進した芭蕉らしい句です。

 一方蕪村の辞世といえば、
 
 しら梅に 明くる夜ばかりと なりにけり

 
です。
 死を前にして、白梅ばかりが咲き誇る世界に行くのだ、という美しくも幻想的な句です。

 厳しいイメージのある芭蕉
 芭蕉を深く尊敬しながら芭蕉のようには生きられず、郷愁の詩人と呼ばれる蕪村
 俳句の世界には、この二大巨頭がいて良かったと思います。

 ちなみに我が家は、ぺこちゃんとぽこちゃんのお雛様を飾っています。




芭蕉全句集 現代語訳付き (角川ソフィア文庫)
雲英 末雄,佐藤 勝明
角川学芸出版

 

蕪村句集 現代語訳付き     (角川ソフィア文庫)
玉城 司
角川学芸出版


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