雪見

文学

 もう私が働く職場の庭では、梅がふくらんでいます。
 それなのに今日は午後から雪になりました。
 雪が降ると寒いですねぇ。
 幸い積もることはなさそうです。

 梅の花 それとも見えず 久方の 天霧る雪の なべて降れれば                   
                                 よみひとしらず


 「古今和歌集」に見られる歌です。

 春の雪で、梅の花が雪にまぎれてそれと分からない、という情景を詠んだ、寒々しいような、春が待ち遠しいような感じがよく出ていますねぇ。
 手だれによる和歌と思われますが、よみひとしらずなんですねぇ。

 では敬愛する蕪村先生は雪見をなんと詠んでいるでしょう?

 いざ雪見 容(かたちづくり)す 蓑と笠    与謝蕪村

 蕪村は放浪の後、京都に居を構え、二度と旅に出ることはありませんでした。
 芭蕉に比べ、軟弱な都会人だったのですねぇ。

 さあ、雪見だ、といって重装備をする姿が、都会的と言えば都会的、大げさといえば大げさ。
 京都ごときでそんなに降らないでしょうにねぇ。
 どちらにしても、そこはかとないユーモアが漂います。
 風狂の人の句ではありえませんねぇ。

 そういう私も、今日は病み上がりということもあり、車通勤なのに股引きを履いて毛糸の帽子をかぶり、マフラーを巻いて手袋をするという念の入れようです。

 そして職場ではフリースに膝かけ。
 自分の身は自分で守らなければなりません。

 雪見が寒いのは当然ですが、梅はもちろん夜桜なんかもけっこう寒かったりするのですよねぇ。

 気候が良いのは秋の月見でしょうか。

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